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March 25, 2005

フジテレビの筆頭株主にソフトバンクインベストメント

フジテレビは、ソフトバンク・インベストメント(以下SBI)が同社の筆頭株主となったことを明らかにした。ニッポン放送の保有する同社株式が、株券消費貸借契約により約5年間SBIに貸し出され、この期間中、株式の議決権はSBIに移転する。これによりニッポン放送が持っていたフジテレビ株式はなくなり、同放送の経営権をほぼ手中にしているライブドアは、フジテレビに影響力を行使することが困難になる。(中略)ニッポン放送が保有するフジテレビ株式は35万3,704株(発行済株式の13.88%)で、これがすべてSBIに貸し出され、SBIは議決権ベースで14.67%のフジ株を持つ筆頭株主となる。同放送は従来、フジテレビ株を57万3,704株(同22.5%)保有していたが、2月にはすでにそのうち22万株(同8.63%)を、大和証券エスエムビーシーにやはり消費貸借している。 消費貸借契約は、物や金品を借りる場合、借りたものと同じものを同じ数量返すことを約束する契約で、民法第587条に規定されている。この契約では、借りた側が借りた目的物自体を返還するのではなく、借りた側が目的物の所有権を取得して、それを消費した後に同価値をもつ他の物を返還するもので、例えば本を借りて、読み終えた後にその本を返す、ということとは異なる。
(出典:MYCOM PCWEB 大川淳2005/3/25)
ソフトバンクインベストメント(以下、SBI)がニッポン放送の保有するフジテレビ株を借り受けて、フジテレビの筆頭株主に突如躍り出た。フジテレビは見事というか、面白い手を打ってきたと思う。ライブドアは、野球では後続の楽天に奪われ、フジテレビではソフトバンクに奪われてしまうのだろうか。ホリエモンには勝負運がなさ過ぎるのではなかろうか…。 議論を進める前に、とりあえず、文中のホワイトナイトという用語の確認からしていていこう。
ホワイト・ナイト(White Knight)
白馬の騎士。買収をかけられた会社の経営陣が、敵対的で自分たちを追い出すおそれのある買収者よりも、友好的な別の会社に自分たちに有利な条件で買収してもらいたいと望むとき、そのような友好的な会社をホワイト・ナイトという。
(出典:M&A用語集)
ホワイトナイトとは、敵対的買収を仕掛けた企業の代わりにその標的の企業を友好的に買収してくれる企業である。仮にSBIがホワイトナイトになるとすれば、ライブドアの代わりにフジテレビを友好的に買収してくれるSBIということになる。では、用語の確認が終わったところで、今回の件を考えてみたい。

まずニッポン放送がSBIにフジテレビ株を貸し付けたことによりどのような影響があるのかを簡単に列挙してみよう。
SBIへの貸し株の影響
1.議決権
2.買収資金

1点目は、ライブドアはニッポン放送陥落後に経営権を取得して、フジテレビの持分比率を下げるための増資をする手を封じたことである。株をSBIに貸している5年間は、原則としてフジテレビへの議決権を復活できなくなった。さらにこの貸し株の方法がなかなか曲者なのである。今回のニッポン放送がSBIと結んだのが株式消費貸借という契約であり、ニッポン放送からはSBIに貸し株の返還を要求できないのである。つまり、ライブドアがニッポン放送を支配してもフジテレビ株をSBIに返還要求できないのである。
2点目は、ライブドアが凍結宣言をしているフジテレビの買い増しの難化である。仮にライブドアがフジテレビ株を買い増していこうとしても、SBIに貸し出している期間はニッポン放送の保有するフジテレビ株は事実上ゼロになる。そうなると、しばらくの間はライブドアがフジテレビを買収するために必要となる資金は膨れ上がる。ニッポン放送の保有するフジテレビ株を当てにしていたライブドアだけにダメージは大きいだろう。
今回のやり方を、「疎開」(読売)、「避難」(毎日)などとメディアは書いていた。私から言わせれば、ライブドアによる間接支配までの単なる「時間稼ぎ」だろうか…。大和證券SMBCへの貸し株は2年(平成17年2月25日~平成19年3月15日)で契約切れるので、まず大和證券SMBCの持分フジテレビ株の8.63%だけが戻ってくる。ライブドアがフジテレビを買収するにはこれだけではまだ足りないだろう。またSBIへの貸し株は5年間(平成17年3月24日~平成22年4月1日)である。2年間の延期が出来ることになっているので、最長で7年間はフジテレビを買収を仕掛けられないかもしれない。つまり、フジテレビは5年から7年の時間稼ぎをしたことになる。

とにかくニッポン放送関連は論点が多すぎて困る。今回はまだ疑問がいくつかあるので考えてみたい。
今回の疑問
1.ソフトバンク
2.資金使途
3.ライブドアの法的措置

1に関して、何故SBIなのだろうか?SBIの北尾吉孝CEOが「「ソフトバンク<9984.T>とは、まったく関係がない」(ロイター)とは言っているが、本当なのだろうか?今は「まったく関係がない」かもしれないが、将来的には関係が出てくるのではなかろうか。ソフトバンクというか、孫正義と言えば、マードックと96年にテレビ朝日を買収しよう男だ。フジテレビの出資で衛生放送事業をしようとしたときもあった。つまり「メディアとITの融合」を夢見た男でもあるので、せっかくのチャンスを逃すなどとは思えないのだが…。だが、これもやはり勝手な憶測に過ぎない。
2に関して、資金使途が気になる。500億円の新株発行も名目はあくまでも新事業などへの投資であったはずである。必要な資金は事業資金だったはずなのに、今回は何故SBIとの金融事業なのであろうか?正直意味がわからない。今回設立するベンチャーキャピタルファンドで「放送・通信・インターネットの各分野にまたがる有力なベンチャー企業を発掘・育成」をするらしい。その新ファンドはフジテレビの目指す新事業に沿ったものに投資していくつもりなのだろうか。何か不透明感が否めない…。
3に関して、ライブドアの法的措置とはどのようなものだろうか?「株式の貸し借りを企業防衛に利用するのは極めて異例」(読売)らしい。今回はどうなるのだろうか。そして、今回もニッポン放送の取締役会だけで可能な判断なのだろうか。ポニーキャニオンのときのように売却しようとしたのではなく、今回はあくまでも貸し株であってまだ売ったわけではない。亀渕社長などの経営陣が今回の行動をどのように説明するのだろうか。亀渕社長の嫌った「企業価値の棄損」につながったようにしか思えないのだが…。最悪の場合、亀渕社長は特別背任罪になるかもしれない。それでもライブドアと刺し違えてやろうということなのだろうか。亀渕社長の判断が正しいとは思えないけど、亀渕社長は侍だった…。
とりあえず泥沼化しすぎて、わけがわからない。もうフジテレビもいっそのこと腹をくくったらどうだろうか?仮に亀渕社長が特別背任罪になろうとも、フジテレビが受ける被害は小さそうである。何かちょっと亀渕社長に同情したくなってくる…。

最後に今後問題になりそうな点を考えておきたい。それは何と言っても、ソフトバンクとフジテレビの仲であろうか。両社が仲良くいれれば問題にはならない。しかし、仲が悪くなったらフジテレビはライブドアの代わりにソフトバンクに乗っ取られてしまうなんてこともありうる。フジテレビはソフトバンクに頭が上がらなくなってしまうのだろうか。フジテレビは会長の日枝が「最善策を練っているので心配しないでほしい。」(時事通信)と社員に言っていたらしい。まさかソフトバンクにベッタリすることが「最善策」とか言いませんよね?
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